11_台詞編集②
オンリー ・ワイヤレス ・ADR ・ナレーション
オンリーはめ替え
オンリーは次の4つのパターンがあります
引き画でガンマイクが対象人物に寄れない時
ドア外やオフの音で発音者の映像がない時
台詞の一部分に物音などのノイズが被ってしまったか、マイクの面が外れてしまった時
海や川などでベースノイズが大きい時にマイクを寄せて録音し直す時
パターン1や2の時は台詞のサブライン[d_b_g_1](Bフェーダー側)に置き、ダビングでボリューム調整できるようにしておく。
パターン3のシンクロが使るが、部分的な台詞のはめ替えはリップシンクさせて(長さの調整方法はADRのセクションで説明します)台詞のAライン[d_a_g_1]に継ぎ込み、つなぎ目にクロスフェードをかけます。
パターン4の場合は距離感を調整して台詞のBライン[d_b_g_1]に置きます。
同じ台詞のオンリーが複数ある場合はプレイリストに貼り付けて、はめ替えが可能な状態にしておきましょう。
※クリップリストについて
クリップリストの音を聞く場合
optionを押しながら聞きたいクリップをクリックする。音が出ない時はI/OセットアップのOutputのページの右下の[試聴パス](Audition Path)の設定を確認する。
クリップを探す場合
名前がわかっているときは[⌘+shift+F]でFind Clipsのウインドウを開いて検索する(検索をクリアーにする時は[⌘+shift+D])
頭文字で探探す場合はクリップリストキーボードフォーカスをクリックして探したいファイルの頭文字のキーボードを押すとクリップリストにハイライトされる
認識されていない(クリップリストにあるが音が出ない)クリップを探す場合はクリップリストメニューから[表示(show)]>[フルパス(Full Path)]にするとそのクリップが保存されているファイルやディスクが全て表示されるので、どこに保存されているか確認しましょう。作業するProtoolsを変えると前に使っていたProtoolsのハードディスクに保存されてしまうことがあります。ファイルの保存先は初期設定(Preference)>オペレーション(Operation)>[ユーザーメディアとセッテングロケーション]で設定できます。
ワイヤレスマイクトラック
ハイパスフィルター
EQでハイを上げる
台詞とベースノイズを分割
フェードをかける
位相ズレを直す
1.ハイパスフィルターを入れる
ワイヤレスは口に近い為低い周波数が多く乗っていたり、息で吹かれていることがあるので、ハイパスフィルターで低い周波数を切ります。
男性と女性では切る周波数が違ったり、シーンによって切りたい周波数が違う場合はトラックを分けたり、オートメーションを使って数値を変更します。
2.EQでハイを上げる
ワイヤレスマイクは洋服の中に装着することが多いので、洋服に高い周波数が遮られこもってしまいます。それを補正するために高周波数のゲインをあげます。
音を再生しながらハイミッド(緑)のコントロールドット10dB以上上げ左右に動かし(4kHz〜12kHz)適切な周波数を探します。
一番効く周波数が見つかたら適切なゲインに戻します。(4dB〜10dB)
※記載した周波数やゲインは目安です。自分の耳で適切な数値を見つけてください。
3.台詞とベースノイズを分割
ワイヤレスマイクトラックは台詞以外のところにガサが入っていたりするので、台詞部分だけストリップサイレンスを使って抽出します。(ベースノイズはガンマイク側で繋ぎます)
リージョンを選択し[⌘U]でストリップサイレンスを立ち上げ、パラメーターを調整して下記の図のように台詞だけが残るようにします。
右下の[Strip]ボタンをクリックし、台詞部分だけを残します。
パラメーター
Strip Threshold(ストリップ スレショルド)スレショルド値がノイスと台詞の境界線になる
Min Strip Duration(最小ストリップ時間)抜き出す音の時間の最小単位
Clip Start Pad(クリップスタートパッド)新しくできるクリップの頭の部分の余白
Clip End Pad(クリップエンドパッド)新しくできるクリップの終わりの部分の余白
分割線
抽出された
4.フェードをかける
抽出されたリージョンが選択された状態で[F]を押すと抽出されたリージョン全てにフェードがかかる。
5.位相ズレを直す
ガンマイクとワイヤレスマイクでは、口からの距離が違うので時間的ずれが生じます。これが位相ずれになり、特定の周波数が減衰したり、音が裏返ったように聞こえます。
画面を拡大し、波形の山をナッジを使って同じ位置に合わせます。
※ナッジ
ナッジはタイミングを微調整する機能で特定の単位でクリップを動かすことができます。
ナッジの数値を設定し、クリップを選択しテンキーの「+」「ー」キーを使って動かします。
ナッジをの数値を設定する時は下向きの三角をクリック
単位をサンプルにする
数値を2サンプルに設定する
ADRトラック
位置をあわせる
長さがをあわせる
音質を調整
反響をつける
位置を合わせる
写真のようにシンクロとアフレコした台詞の位置がずれている場合は分割して位置を合わせます。
※赤いトラックがシンクロ(撮影現場で録音した台詞)で緑のトラックがアフレコしたセリフ。
分割したい位置にカーソルをおいて[B]を押すと分割される
クリップを下げていちを合わせる
長さを調節する
リージョンの長さが合わない場合はTCEを使って調節する。
(TCE=タイム・コンプレッション/エクスパンション・トリムツール)
トリムツールを右クリックする
TCEを選択する
TCEを使ってリージョンを伸ばしたい位置までもってくる
リージョンが伸びる。短くしたい場合も同じ操作で長さを変更できる。
音質を調整
ハイパスフィルターとローパスフィルターを使って音質を調整します。
アフレコの時マイクに寄りすぎて録音すると低音が出てしまうので(特に男性)ハイパスフィルターをつかって音を聞きながら60Hzから120Hzの周波数で18dB/oct程度カットしていきます。あくまでも目安なので自分の耳の感覚で調節して下さい。
コンデンサーマイクで録音すると高い周波数が伸びすぎてしまう事があるので(特に女性)高い周波数もローパスフィルターで抑えていきます。ローパスフィルターは6dB/oct下げ、音を聞きながら周波数を下げて(グレーのポイントをクリックしながら左に動かす)心地よいところで止めます。
個別に調整したい場合はAudioSuiteで調整します。
反響をつける
アフレコの反響成分のトラック(Pro Toolsテンプレートのページで作成済み)の7バンドEQと D-Verbを使って反響成分を作ります。
位置をずらして反響成分とする
アフレコのリージョンを選択
[option]を押しながらADRリバーブトラックにもっといくとリージョンがコピーされます
ナッジの設定を1/4フレームにして3/4フレーム遅らせます。
引き画の時は1フレーム程度遅らせます
反響成分大きさと音質を調整
OUTPUTを12〜16dB下げる
フィルターを使ってこもらせる
※この反響は壁や地面などから反射してくる音をなので高域成分は吸収されて無くなっています。
リバーブをつける
屋外や日本家屋では位置をずらした反響成分だけで十分ですが、教室や廊下などではリバーブをつけます。
適切なサイズのリバーブを選択し「DECAY」でリバーブタイムを設定します。「HF CUT」1kHz程度設定し、高域を無くするとデジタル臭さがなくなり自然なリバーブになります。
リバーブを使わないシーンはオートメーションでバイパスにします。
ナレーショントラック
台詞ごとに分割 ストリップサイレンス[⌘U]を使って無音部分を取り除きリージョンの前後にフェードをかけます[F]。
リップノイズの除去 ナレーションはマイクに寄って録音する事が多いのでリップのがあれば取り除きます。
位置の調整 セリフや大きな効果音にぶつからないように位置を調整します。音楽のアタックの部分にも当たらないようにしましょう。
リバーブ リバーブをかける場合は台詞編集①「反響をつける」を参考にリバーブトラックに録音します。ナレーションにリバーブかける場合はリアルな反響ではなくイメージとしてのリバーブなのでハイカットの必要はありません。自分の好きな音質にして下さい。